白亜荘について


薄明かりの下、長く続く廊下のしっとりとした木の質感が、足の裏に吸い付くようで心地良い。

まんまるの照明や、壁の染み、扉の開くぎいという音、やわらかくきしむ階段を踏みしめながら一歩一歩ゆっくりと歩く。

ここに暮らし、訪れてきたひとたちの息づかいが建物のひとつひとつに染み込んでいるようで、初めて訪れる場所なのにどこか懐かしささえ感じさせるぬくもりがある。


京都左京区・吉田にある「白亜荘」は、大正時代に修道女の寄宿舎として建てられました。

窓を開けると、鳥や虫の鳴く声がして、風がそっと吹き抜けていく。街のざわめきは遠く、山麓の静けさの中にひっそりとたたずんでいる白亜荘のようすは、まるでおおきな樹木のよう。


ここにはいまでも、住人の方々の暮らしがあります。

お手洗いや台所は共同、お風呂は近くの銭湯へ(京都には昔ながらの銭湯がたくさんあるのです)。

夕方になると、晩ごはんのにおいが鼻をくすぐる。今夜の献立は何だろうかなんて思い浮かべたりして。


ひとやモノとの間にあるほど良い距離感には、独特の安心感を覚えることがあります。

いまはあらゆることが便利で快適になったけれど、同時に希薄になりやすくもあるひととの関わりの中で、顔を合わせること、言葉を交わすこと、相手と心地良い距離感を保つことのたいせつさを、共同生活はあらためて感じさせてくれるように思います。


そんな当時の雰囲気をそのままに残しつつ、現在では他にもアトリエや出版社などのオフィスとしても使われています。

アンティーク雑貨&ギャラリーの古書室。雨の日や店主の気のままにひっそりオープンする、山の古本屋さん。

最近ではデンマークで活動している素敵な画家さんも越してきて、なんだか楽しくなりそうな気配のする白亜荘。


京都・左京区にお出かけの際には、どうぞお立ち寄りください。

近くには、吉田神社・平安神宮・岡崎公園・京都市美術館などもございます。