雨日和のこと

 屋根を打ち、木々や緑、地面は徐々に色濃く染まってゆく。雨樋を流れ、不規則に弾みはじめた音を聞いていると、いつのまにかわたしは、雨粒が染み込んでいくのを、心のどこかで待ちわびているのではないかと思うことがあるー部屋の壁にかけられた、次第に色褪せてゆくのを待っているユーカリの葉のように淡い期待を抱いてー。


わたしのことを少し。


「ゆるむ」という感覚を体感したのは、初めての海外ひとり旅、タイ・チェンマイでのことでした。


エステティシャンとして6年間勤務し、様々な年代の方のからだやこころと向き合う中で、気がつけば自分のからだは置いてけぼり、こころは氷のように固まっていました。自分の感受性がこれ以上失われてしまう前に、と飛び出すように海外へ。自分のためだけの、なにもしない時間を思い切り過ごそうと選んだのがタイでした。


からだがほっとするような温暖な気候、ほがらかなタイの人柄、生命力溢れる生き物の鳴き声・・・ここにいるだけで、「大丈夫だよ」と受け入れられているような気持ちになりました(とはいえタイ人はとくに受け入れようとか思ってないのがまた良い。むしろ誰が何であろうが全然気にしていない)。


自分にとって、小さな声だとか不器用なことばはいつも、表現することやひととの間に距離感を持たせてきたように感じていました。まるで、自分が水玉の中にいて、外の景色が曖昧で滲んで見えるみたいに。

だけど、チェンマイでタイマッサージを学ぶことをとおして、「自分にやさしくする」「自分がリラックスした状態でひとに触れる」ことの気持ちよさを知ったとき、涙がぽろぽろ溢れてきたのを今でも覚えています。


こころがゆるんだ。と思ったときに、はじめて自分のこれまでもこれからも、ちゃんと受け入れられるような気がしました。


言葉を話すように


文章を書くように


本を読むように


旅をするように


そんなふうに、ひととゆっくりゆっくり関わり合っていくことができたなら。


「雨」は突然降り出して、そのうち上がっていく。だれかの気持ちに染みこんだり、ざわめきを残したりしながら。わたしは雨みたいに、いつかどこかでだれかの中を流れる水になりたい。


そんなわけで、「こころゆるまる、からだを旅するー雨日和ー」です。

おひとりおひとりに、じっくり寄り添うことができればうれしく思います。




雨日和 プロフィール

2009年より基礎化粧品会社で、フェイシャル・ボディ・ヘッドケアなどの技術、営業含むエステティシャンとして勤務。

2015年初春、チェンマイCLS massage school にて一ヶ月間【セラピスト養成コース】受講(タイ古式マッサージ・オイルマッサージ・フットマッサージ・ルーシーダットン)。

同夏から、108日間で北半球・南半球22ヵ国を巡る世界一周の船旅に出る。

2016年秋。チェンマイ同学校にて【タイ古式アドバンスコース】修了。

その後もゆるゆる旅を続けながら、現在は京都・左京区でのんびりマッサージをしています。


旅行、食べること、寝ることがすきです。おやすみの日にはギターを弾いたりしています。

日々の様子はInstagramで公開中。